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全国保育士会研究大会での発表

先週の11月24日、全国保育士会研究大会において、「共感的自己肯定感を高める支援のあり方」というタイトルで白樺保育園の保育実践研究を発表しました。

その一部をご紹介します。

高垣忠一郎氏によると、「自己肯定感」には「競争的自己肯定感」と「共感的自己肯定感」があります。共感的自己肯定感とは、「自分が自分であって大丈夫と感じるもの」、「かけがえのない自分をありのまま受け容れ、それゆえにかけがえのない他人に共感できる自己肯定感」、「身近な人間にかけがえのない存在としてまるごと愛され、その苦しみを共感され、ありのまま受け容れられるような共感的な人間関係のなかでこそふくらんでくるもの」とされています。

いくつかの事例をとおして、こどもや保護者に対して、愛情をもってかかわり、気持ちに寄り添い、励まし・応援し、ありのままの姿を受け容れ、できるようになる過程・挑戦する姿を褒める等の共感的自己肯定感を高めるかかわりを続けてきました。その結果、子どもたちの心が安定し、自信へとつながり、承認欲求を満たすことにつながったと推察します。また、自分が自分であって大丈夫、自分は愛されている、ありのままの自分を受け容れてもらえていると思えるようになると、他者に対しても思いやりを持つことができるようになるのではないかと考えます。それにより、こどもの心が安定すると、クラス全体が温かいかかわりの雰囲気になれたと推察します。ご紹介した事例から見られた結果として、安心感・自己抑制・相手の気持ちの受容・道徳性・主体性・粘り強さ・挑戦意欲などの「生きる力」が育まれたと推察します。

この研究を通して、共感的自己肯定感を高めるかかわりを考えてきました。「自分のことが好き」「友だちが大好き」という思いをもって、大きく成長してほしいと私たち保育者は願ってかかわっています。しかし、小さいころから、ダメなところを指摘され続けると、自信がなくなり「自分なんか」「どうせできないし」等否定的な思いが生まれてきます。「自分のことが大好き」「友だちが大好き」と思える子どもに育ってもらうためには、私たち周りの大人が、その子どものことを比較せずに認めることで、ありのままの自分でも大丈夫と思える「安全基地」を築いていけるように援助していくことが大切だということに気づきました。

高垣忠一郎氏によると「失敗しても大丈夫」という「ゆるされる」体験から生じる自己肯定感があるとされています。「ゆるされる」体験を重ねることで、より信頼関係や愛着関係をゆるぎないものとし、どんな自分でも受け容れてもらえる存在というものが近くにあることが、共感的自己肯定感を高めることへとつながっているように思われました。

「大好きだよ」「大切にしているよ」という保護者や保育者の思いを伝え続けることも大事なことであり、小さなころからの積み重ねが、大きく成長したときの困難に直面したときに、立ち向かう力となるのではないかと考えます。